精神障害者については、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律
(精神保健福祉法)の第5条において、「統合失調症、精神作用物質による
急性中毒又は、その依存症、知的障害、精神病質その他の精神疾患を
有するもの」と規定していますが、身体障害などと比較して
研究が十分に行われておらず、未発達なところが
多かったため、分類や診断基準が国によって
あるは医師によってもばらつきがあり、同じ患者でありながら
かかる医療機関によって異なる診断名がつくこともしばしばでした。
また、定義のなかに知的障害者が含まれています。
知的障害者のなかに。精神障害者であると位置づけることは
明らかに間違いであり、理論的にも実体的にも誤っているので
法律の条文としての適切性には議論の余地が残るところです。
少なくとも、今日の福祉サービス分野においては
知的障害を除いて考えられていることが多いのです。
代表的な精神障害の特徴
★統合失調症
かつて「精神分裂病」といわれていたものが、2002年に現在の
「統合失調症」という名称に変わりました。
従来の精神分裂という言葉は、一人の人間のなかにある
一つの精神がいくつもの精神に分裂していくようなイメージを
一般に与えてきました。しかし、それは本来の症状の実態とは
乖離しており、「精神状況が現実の世界から逸脱していく」
と、捉えるほうが適切であるといえます。
統合失調症の特徴的な症状は
● 陽性・・・妄想や幻覚・解体した(理解不能な)会話
ひどく解体した行動・緊張病性の行動(カタトニア)
● 陰性・・・感情の平板化・意欲の欠如・抗うつ感・思考の欠如
症状のパターン
①単一型・・・派手な症状はなく人目に付きにくいため、発病したと
しても、気づかれないことが多い。まわりとの
接触や関心が、じわじわと侵されていくことを特徴とする。
そのため次第に自閉的になっていく。
②破瓜型・・・統合失調症の中核をなす型で、7~8割を占める。
不規則な生活、自室に閉じこもる、無為な日々を過ごすなど
能動性の減退と感情鈍麻を主症状とし、次第に
幻覚、妄想、思考障害が出現し、末期には
人格が荒廃するというような最も重いタイプ
③緊張型・・・主症状として、多弁、多動、支離滅裂な言動などの
了解不能な興奮状態、あるいは、無為やカタトニアなど
行動の著しい減退といった昏迷状態がある。
急激に悪化する反面、短期間に治癒することもあるが
再発もしやすく、そのたびに人格の荒廃が進む。
④妄想型・・・妄想・幻覚を主症状する。初期では妄想的な気分や
曲解が多い程度であり、人格障害も比較的軽いが
次第に妄想が体系化され確固たるものになる。
末期には著しい人格の荒廃へ進む。
現在では、統合失調症に対する治療の中心は、薬物治療であり
非常に有効な薬物が開発されていることもあって
効果が上がっています。特に陽性症状の寛解率は
70%近くといわれています。
ちなみに、発病率はおよそ100~130人に一人で
特異な病気ではなく、身近な病気といえます。
★気分障害
気分障害には、うつ病、躁病、双極性障害の3つに大別されます
(1)うつ病
うつ病には、内因性うつ病と神経症性があります。
●内因性 ・原因・・・・・・妄想脳内のセロトニンやノルアドレナリンの
減少など生物学的な原因
・発症の契機・・・脳内の変化によって発症
きっかけがある場合もない場合もある
・睡眠障害・・・・途中覚醒・早期覚醒
入眠困難ー「中間型」の睡眠薬
・日内変動・・・・朝悪く、夕方に向けて改善
・抗うつ薬の効果・神経伝達物質を増加させる薬剤の
投与による効果の期待は大きい
●神経症性うつ病
・原因・・・・・・心理的・社会ストレス
・発症の契機・・・具体的な内的葛藤を起こさせる事象
・睡眠障害・・・・入眠困難ー「超短時間作用型」ないしは
「短時間作用型」の睡眠薬
・日内変動・・・・不安、あるいは夕方に向けて悪化
・抗うつ薬の効果・薬剤の投与だけでは効果の期待は小さい
うつ病の全般的な症状として、意欲や感情面での低下
食欲不振や不眠など、基本的欲求の低下などがみられますが
その他にも、多くの身体的症状を示します。
例えば、頭痛、頭部圧迫感、肩こり、腹部不快感、動悸、息切れ
などが症状として挙げられます。
いずれにしても、当事者たちが不安と罪悪感を抱えているのは
確かですが、その結果として
落ち込んでいる、あるいは気のもちようでといったレベルの
問題ではなく、脳の中でショック状態を落ちつかせるホルモンの
働きを能動的にコントロールすることができないという
状況であることを理解しておく必要があります。
(2)躁病
躁病とは、気分が高揚し、活動性が亢進し、注意散漫になり
非現実的で誇大的な自尊心をもうような状態になったため
日常生活や社会的な活動が妨げられるような状況をいいます。
(3)双極性障害
双極性障害は、躁病とうつ病の2種類の病相を繰り返す病気で
これらの病相が治ると精神的な症状は全くなくなりますが
これらの病相が1回で終わることは少なく、予防のための
手段を講じずに放置しておくと多くの場合再発し
年とともに再発までの間隔が短くなる傾向があります。
逆にいえば、治療により再発を予防することは可能です。
双極Ⅱ型障害は、軽躁状態とうつ状態を繰り返す病気ですが
軽躁状態が調子のよい状態と感じられることが多いため
本人や周囲の人にとっては、「うつ病」と認識されて
しまうこともあります。
また、多くの場合に「双極Ⅱ型障害」はうつ状態が再発しやすい
ことから、双極性障害に含められています。
「日本医療企画」テキストより
