精神障害(2)

★神経症

神経症とは、何らかの心理的な原因によって起こってくる

心身の機能障害です。

神経症の基本的症状は「心理的なとらわれの現象」といえ

とらわれる対象はその時の個人の状況や環境によって

決定されることから、非常にさまざまであるといえます。

大きく3つに分類されています。

共通する特徴は強い不安と緊張です。

一般において日常生活のなかで、さまざまなストレスに

直面し、不安や緊張をかかえることは誰もが経験することですが

その後の状況として、その不安や緊張に満ちた悩みがなかなか

心の中から解消されていかない障害といえます。

しかし、いわゆる精神病とは異なり、神経症の人には

症状に対する認識があり、「これではいけない」という

葛藤をかかえ、治したいという強い意欲があります。

また、症状以外での現実に対する検討能力は保たれているため

人に知られることを嫌って表面上普通の生活としようと

努力していますが、一方では強い不安のために心理的機制がかかり

日常生活に支障をきたしている面もみられます。

神経症の特徴

・心理的機制によって起こる

・起こる症状は器質的病変をもたない機能的なものである

・症状は1回だけにとどまらず、慢性的に認められる

・さまざまな症状があるが、その背景には不安、緊張が共通して認められる

・本人に葛藤、治療意欲があるが、不安、緊張のため

 回避的な行動も認められる。

★パニック障害

パニック障害とは、激しいパニック発作で始まる不安障害です。

何の前触れもなく、さまざまな症状を引き起こします。

しかし、パニック障害の原因は、まだ十分に解明されておらず

現状では、脳内神経伝達物質のバランスに変調を

きたしている状態と考えられています。

また、パニック発作は非常に強烈な恐怖感と不安感を伴いながら

繰り返し起こります。

初発の発作以降、おおむね数日から数週間で2回目の

発作が起こるといわれており

2回目以降は比較的短期間に連続して発作が起こる可能性があります。

重症の場合は1日に数回の発作を起こす場合もあり

1週間に4回以上の発作が起こり

それが、4週間以上続く場合は重症と考えられます。

こうした状況にあるため、発作の再発に対する恐れと

不安はとても大きいものであり

心配するあまり、日常生活が大きく規約されることにも

つながります。

  パニック障害の症状

・心臓がどきどきする、または心拍数が増加する

・汗をかく

・体や手足の震え

・呼吸が速くなる、息苦しい

・息がつまる

・胸の痛み、または不快感

・吐き気、腹部のいやな感じ

・めまい、不安定感、頭が軽くなる、ふらつき

・非現実感、自分が自分でない感じ

・軌道を逸してしまう、狂ってしまうのではと感じる

・死ぬのではないかと恐れる

・しびれやうずき感

・寒気またはほてり

★アルコール依存症

一般にアルコール依存症とは、急性中毒症は含まず

周期的または持続的にアルコールを摂取することによって

起こる、慢性中毒症状のことを意味します。

すなわち、体内のアルコールが減少したり

存在しなくなったりすると、精神的、身体的に何らかの

不快な異常を生じ、からだの正常な機能が営めない状態になり

その結果、渇望状態を回避するために、いや応なしに

周期的または持続てきに飲まなければならない状態を

アルコール依存症といいます。

これを、人とアルコールとの支配関係で考えると

健康で適度な飲酒状況の人は、アルコールをコントロールするのに対し

アルコール依存症の場合はその逆で、アルコールに自分が

コントロールされているということがいえるでしょう。

アルコール依存症の実態として、全国で220万人前後と

推定され、糖尿病などさまざまな慢性疾患のなかで

第1位であり、その数は年々増加の傾向にあるとされています。

また、アルコール依存症は、身体、精神、社会の

それぞれの面において、さまざまな問題を発生させます。

これらの症状を改善していくためには、当然のことながら

飲酒欲求を抑制できるかどうかがカギとなります。

飲酒者の遺伝的素質、性格、生育環境、現在の生活環境、精神状態

とりわけ自我の確立や自制心(自己統制力)にかかっています。

★情緒障害

情緒とは、恐れ・怒り・驚き・好き・嫌い・喜び・悲しみなど

刺激によって引き起こされる感情のことであり

情緒障害とは、その情緒が何らかの原因によって

混乱し、自身の意思でコントロールできないほどの偏りや

激しさを伴って表出するもので、結果的に

学校生活や社会生活に支障となる状態のことです。

成人における神経症症状に該当する障害であり

その症状は、幼児期・児童期に不適応行動や症状として

現れることが多くみられます。

情緒を激しく表出させることは、誰もが可能性として

もつ行動ですが、それらはおおむね一過性のものであるため

さほど問題とはなりません。

しかし、情緒障害の場合には、それが何度もくりかえされる

極端な表出の仕方をするために社会的に不適応な状態となってしますのです。

具体的な不適応行動や症状は3つに大別されます

①反社会行動・・・攻撃的・反抗的な態度

         具体的行動は、非行、家庭からの金品の持ち出し、怠学など

②非社会行動・・・消極的で引っ込み思案な態度

         具体的行動は、登校拒否、不定愁訴

③神経症・心身症・習癖

       ・・神経症や心身症の症状、神経症的習癖

         具体的行動は、爪かみ、指しゃぶり、性器いじり、夜尿、夜驚

これらの症状は、親や周囲の大人にとっては

あってはならない厄介なものとして捉えられていることが多く

大人からすれば、子どもが表出する症状も意味も分からず

その対応の仕方もわからないために

我慢しがたいものとなりますが子どもの視点で物事を捉えて検証し

表出した症状だけではなく

症状がもつ意味に目を向けていく姿勢が求められます。

        「日本医療企画テキスト」より

精神障害 (1)

精神障害者については、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律

(精神保健福祉法)の第5条において、「統合失調症、精神作用物質による

急性中毒又は、その依存症、知的障害、精神病質その他の精神疾患を

有するもの」と規定していますが、身体障害などと比較して

研究が十分に行われておらず、未発達なところが

多かったため、分類や診断基準が国によって

あるは医師によってもばらつきがあり、同じ患者でありながら

かかる医療機関によって異なる診断名がつくこともしばしばでした。

また、定義のなかに知的障害者が含まれています。

知的障害者のなかに。精神障害者であると位置づけることは

明らかに間違いであり、理論的にも実体的にも誤っているので

法律の条文としての適切性には議論の余地が残るところです。

少なくとも、今日の福祉サービス分野においては

知的障害を除いて考えられていることが多いのです。

代表的な精神障害の特徴

統合失調症

 かつて「精神分裂病」といわれていたものが、2002年に現在の

「統合失調症」という名称に変わりました。

従来の精神分裂という言葉は、一人の人間のなかにある

一つの精神がいくつもの精神に分裂していくようなイメージを

一般に与えてきました。しかし、それは本来の症状の実態とは

乖離しており、「精神状況が現実の世界から逸脱していく」

と、捉えるほうが適切であるといえます。

統合失調症の特徴的な症状は

● 陽性・・・妄想や幻覚・解体した(理解不能な)会話

       ひどく解体した行動・緊張病性の行動(カタトニア)

● 陰性・・・感情の平板化・意欲の欠如・抗うつ感・思考の欠如

    症状のパターン

①単一型・・・派手な症状はなく人目に付きにくいため、発病したと

       しても、気づかれないことが多い。まわりとの

       接触や関心が、じわじわと侵されていくことを特徴とする。

       そのため次第に自閉的になっていく。

②破瓜型・・・統合失調症の中核をなす型で、7~8割を占める。

       不規則な生活、自室に閉じこもる、無為な日々を過ごすなど

       能動性の減退と感情鈍麻を主症状とし、次第に

       幻覚、妄想、思考障害が出現し、末期には

       人格が荒廃するというような最も重いタイプ

③緊張型・・・主症状として、多弁、多動、支離滅裂な言動などの

       了解不能な興奮状態、あるいは、無為やカタトニアなど

       行動の著しい減退といった昏迷状態がある。

       急激に悪化する反面、短期間に治癒することもあるが

       再発もしやすく、そのたびに人格の荒廃が進む。

④妄想型・・・妄想・幻覚を主症状する。初期では妄想的な気分や

       曲解が多い程度であり、人格障害も比較的軽いが

       次第に妄想が体系化され確固たるものになる。

       末期には著しい人格の荒廃へ進む。

現在では、統合失調症に対する治療の中心は、薬物治療であり

非常に有効な薬物が開発されていることもあって

効果が上がっています。特に陽性症状の寛解率は

70%近くといわれています。

ちなみに、発病率はおよそ100~130人に一人で

特異な病気ではなく、身近な病気といえます。

気分障害

気分障害には、うつ病、躁病、双極性障害の3つに大別されます

1)うつ病

うつ病には、内因性うつ病と神経症性があります。

●内因性  ・原因・・・・・・妄想脳内のセロトニンやノルアドレナリンの

               減少など生物学的な原因

      ・発症の契機・・・脳内の変化によって発症

               きっかけがある場合もない場合もある

      ・睡眠障害・・・・途中覚醒・早期覚醒

               入眠困難ー「中間型」の睡眠薬

      ・日内変動・・・・朝悪く、夕方に向けて改善

      ・抗うつ薬の効果・神経伝達物質を増加させる薬剤の

               投与による効果の期待は大きい

●神経症性うつ病  

      ・原因・・・・・・心理的・社会ストレス

      ・発症の契機・・・具体的な内的葛藤を起こさせる事象

      ・睡眠障害・・・・入眠困難ー「超短時間作用型」ないしは

               「短時間作用型」の睡眠薬

      ・日内変動・・・・不安、あるいは夕方に向けて悪化

      ・抗うつ薬の効果・薬剤の投与だけでは効果の期待は小さい  

うつ病の全般的な症状として、意欲や感情面での低下

食欲不振や不眠など、基本的欲求の低下などがみられますが

その他にも、多くの身体的症状を示します。

例えば、頭痛、頭部圧迫感、肩こり、腹部不快感、動悸、息切れ

などが症状として挙げられます。

いずれにしても、当事者たちが不安と罪悪感を抱えているのは

確かですが、その結果として

落ち込んでいる、あるいは気のもちようでといったレベルの

問題ではなく、脳の中でショック状態を落ちつかせるホルモンの

働きを能動的にコントロールすることができないという

状況であることを理解しておく必要があります。

(2)躁病

躁病とは、気分が高揚し、活動性が亢進し、注意散漫になり

非現実的で誇大的な自尊心をもうような状態になったため

日常生活や社会的な活動が妨げられるような状況をいいます。

(3)双極性障害

双極性障害は、躁病とうつ病の2種類の病相を繰り返す病気で

これらの病相が治ると精神的な症状は全くなくなりますが

これらの病相が1回で終わることは少なく、予防のための

手段を講じずに放置しておくと多くの場合再発し

年とともに再発までの間隔が短くなる傾向があります。

逆にいえば、治療により再発を予防することは可能です。

双極Ⅱ型障害は、軽躁状態とうつ状態を繰り返す病気ですが

軽躁状態が調子のよい状態と感じられることが多いため

本人や周囲の人にとっては、「うつ病」と認識されて

しまうこともあります。

また、多くの場合に「双極Ⅱ型障害」はうつ状態が再発しやすい

ことから、双極性障害に含められています。

     「日本医療企画」テキストより

知的障害(2)

AAMRは1992年の段階で特定できている知的障害の

原因疾患について「知的障害の原因疾患(第9版)として発表しています

知的障害の原因はさまざまであり、

特定できないものも少なくありません。

なかには原因が一つとは限らず、いくつかの

因子が複雑に関係して発症する可能も可能性考えられます。

また、遺伝子や染色体異常など先天性の障害だけでなく

損傷や環境が原因とされる後天性の障害も注目されています。

    知的障害の原因疾患

胎児期

★染色体異常・・・常染色体の異常(ダウン症候群4番など)

         X染色体の連鎖により精神遅滞を生じる疾患(虚弱X症候群)

         ほかのX染色体異常(XO症候群〈タナー〉)

★症候群疾患・・・神経皮膚の疾患(神経線維腫症)

         筋肉の疾患(先天性筋ジストロフィー)

         眼の疾患(無眼球症候群)

         頭蓋と顔の疾患(尖頭合指症)

         骨の疾患(末端骨形成不全症)

         その他の症候群(プラーダー・ウィリー症候群)

★先天性代謝異常・・・アミノ酸代謝異常(フェニルケトン尿症)

           糖質代謝異常(ガラクトース血症)

           ムコ多糖類代謝異常(アルファーL-イズロニダーゼ欠乏症)

           ムコ脂質代謝異常(ムコ脂質)

           尿路回路異常(カルバミルリン酸シンテターゼ欠損症)

           核酸代謝異常(レッシューハイナン症候群)

           銅代謝異常(ウィルソン病)

           ミトコンドリア代謝異常(カーンズーセイヤー症候群)

           ペロオキシゾーム代謝異常(ツェルベーカー症候群)

★脳形成の発達障害・・・神経管閉鎖不全(無脳症)

            脳形成不全(水頭症)

            細胞移動不全(皮膚層の異常)

            神経細胞内の異常(樹状突起の異常)

            後天性の脳障害(水無脳症)

            原発性(特発性)小頭症

★環境の影響・・・・子宮内栄養失調(母親の栄養失調)

          薬物、毒物、催奇物質(サリドマイド)

          母親の疾患(真性糖尿病)

          妊娠中の放射能照射

●周産期

★子宮内の異常・・・急性胎盤機能不全(胎盤早期剥離)

          慢性胎盤機能不全(子宮内発育遅延)

          異常分娩(出産時の外傷)

          多態性妊娠

★新生児期の異常・・・虚血性低酸素脳症(硬膜下)

           頭蓋内出血、出血後水頭症、脳室周囲白質軟化症

           新生児期痙攣、呼吸の障害(硝子膜症)

           感染症(敗血症)、出生児の頭蓋外傷

           代謝異常(高ビリルビン血症)

           実質組織の出血

★脱髄性疾患・・・・感染後疾患(急性散在性脳脊髄炎)

          免疫後疾患(百日咳脳精髄炎)

          シルダー病

★変性疾患・・・・症候群の疾患(レット症候群)

         ポリオジストロフィー(アルパース病)

         基底大脳核疾患(ハンチントン病)

         白質委縮症(アレキサンダー氏病)

         スフィンゴ脂質代謝異常(セラミダーゼ欠乏症)

●出生後

★てんかん発作・・・てんかん重積状態による脳損傷、点頭てんかん

          ミオクロニーてんかん

          レンノックスガストー症候群

          進行性局在てんかん

★中毒性代謝障害・・・急性の中毒性脳症、ライ症候群

           中毒(水銀)、新陳代謝異常(低血糖)

★栄養障害・・・プロテインカロリー(特に認められる原因がなく

                  小児に見られるような進行性、消耗症)

         長期静脈内栄養法

★環境剥奪・・・心理社会的不利益、幼児虐待と療育の怠慢

        慢性的な社会・感覚遮断

    「日本医療企画」テキストより

           

           

知的障害 (1)

知的障害を字義どおりに捉えれば、日常生活において

頭脳を使う知的行動に障害があることを指すものといえます。

例えば、読み書きや計算、金銭管理といった

行動において問題があるということであり

この視点からいえば、知的障害の範疇は

非常に広いものであると考えられます。

つまり、広義に捉えれば、認知症、高次脳機能障害、学習障害

なども含むこととなります。

しかし、一般に福祉や教育の領域において

「知的障害」という場合は狭義のものをいいます。

狭義の知的障害の定義については

1960(昭和35年)4月1日に施行された

知的障害者福祉法(旧「精神薄弱者福祉法」)には

身体障碍者福祉法に規定されているような

障害の定義は存在しません。

今日まで福祉施策や学校教育においては

知的障害につて定義する法令はありますが

個々の法令においてその定義は

異なっているのが現状です。

厚生労働省は2000(平成12)年に知的障害者の

実態調査を実施するために

客観的基準として、知的障害とは発達期(おおむね18歳まで)に

明らかな遅滞が現れ、その遅滞により適応行動が困難ななめに

日常生活に支障が生じ、なんらかの特別の

援助を必要とする状態にあるもの、と3つの要件から

知的障害を規定しました。

また、遅滞の判断については、

標準化された知能検査

田中ビネー、WAIS-R、KーABC  などによって

測定された知能指数が、70~75未満のものと規定しています。

このような厚生労働省の客観的基準は

1992年に定められたアメリカ精神遅滞学会(AAMR)

の定義に基づいています。

AAMRでは知的障害の状態を

① 知的機能が平均以下(IQ 70~75以下)であること

② 適応スキルの領域のうち、2つ以上の領域で制約があること

     適応スキル:a)コミュニケーション  b)身辺処理  

            c)家庭生活  d)社会的スキル

            e)コミュニティ資源の活用

            f)自律性   g)健康と安全

            h)実用的学業  i)余暇  j)労働

③発症年齢が18歳以下

の3項目で定義しており、特徴的なのは知的障害を

機能の状態としてとらえようとしている点であり

適応行動が機能的に制限されている状態としています。

言い換えれば、知的障害は固有の状態像を示す言葉ではなく

一人ひとりによって違いがあると同時に

個人においても、環境的条件によって可変的な

可能性をもっている存在あると捉えています。

知的障害の原因はさまざまであり、特定できないものも

少なくありません。なかには原因が一つとは限らず

いくつかの因子が複雑に関係して

発症する可能性も考えられます。また、遺伝や染色体異常など

先天性の障害だけでなく、損傷や環境が

原因とされる後天性の障害も注目されています。

   「日本医療企画」テキストより

認知症になっても権利や意思を守ってくれる制度

認知症になると判断能力が損なわれ

日常生活のあらゆる場面で問題が生じてきます。

特に一人暮らしや昼間独居の場合は、訪問販売で高価なものを

購入させられたり、十分な説明がないまま契約をさせられたりするという

事件が頻繁に発生しています。

従来あった認知症高齢者や知的障害者、精神障がい者などの

禁治産・準禁治産制度が廃止され、平成12年に成年後見人制度が施行されました。

成年後見制度

認知症で判断能力が低下している高齢者は

財産の管理に支障をきたす場合があります。

このような高齢者の財産を保護するために

資産の管理や処分を支援する後見人を指定するのが、後見制度です。

後見制度には、法定後見制度と、任意後見制度の2つがあります。

法定後見制度は本人の判断力が衰えたときに

家庭裁判所が後見人を選任する制度です。

任意後見制度は、本人の判断能力がまだ十分あるうちに

本人が後見人を定めておくものです。

法定後見制度は、本人や配偶者、親戚(従兄弟まで)

または、市(区)町村長などからの申し立てにより

家庭裁判所が後見人を選任します。

本人の能力に応じて、補助・保佐・後見のいずれかに決定されます。

日常生活自立支援事業

日常生活自立支援事業は、成年後見制度を適用するほどではないが

判断能力が不十分な認知症高齢者などを対象に

その権利と擁護するための事業です

成年後見制度が主に、資産の管理や処分を目的としているのに対し

日常生活自立支援事業は日常的な金銭管理、重要書類の保管

介護保険サービスの利用などを支援する制度であり

市区町村社会福祉協議会の生活支援員が援助を行います。

    「日本医療企画」テキストより

認知症相談窓口

認知症高齢者の介護では、本人が他人との交流を嫌がったり

介護者や家族がサービスについて

「家に来てほしくない」「人の助けはいらない」と拒否したり

介護者も要介護認定を受けていたり

高齢者が高齢者を介護しているといった状況がよくみられます。

このような状況下では、認知症高齢者はもちろん

介護者も必要な介護ニーズを明確にできない、必要なサービスが

分からないといったことが多々あります。

サービスが必要な状態なのにサービスを使いたがらないときは

家族の介護負担軽減のため、必要なサービスの導入に向けて

家族のアセスメントを行い、その中で問題を発見し

解決に向けてチームで検討をしていきます。

相談機関については次のようなところがあります。

認知症相談窓口

①日常的な相談

・保健所、市(区)町村、保険センターの窓口

・精神保健福祉センター

・地域包括支援センター(在宅介護支援センター)

・高齢者総合相談センター

・主治医

②診断や治療などの相談

・物忘れ相談クリニック

・認知症疾患センター

・老人性認知症疾患治療病棟・老人性認知症疾患療養病棟

③介護・福祉サービスに関する相談

・高齢者総合相談センター

・市(区)町村/高齢者保健・福祉担当課・部署

★地域包括支援センターの機能

認知症高齢者への介護保険によるサービスは要介護(要支援)認定に

準じますが、地域包括支援センター(市<区>町村が設置主体)は

保健師、社会福祉士、主任介護支援専門員が常駐し

介護予防ケアマネジメント、相談支援・権利擁護業務、

包括的・継続的ケアマネジメント支援業務を行い

認知症高齢者と家族の支援を行います。

社会福祉士は権利擁護事業を主として担当し

消費者被害防止、成年後見人制度、高齢者虐待防止などの業務を行う。

主任介護支援専門員は包括的・継続的ケアマネジメント支援事業を担当し

ケアマネージャー(介護支援専門員)への個別指導・相談業務や

包括的なケア体制の構築をしていく

保健師は、介護予防マネジメントを主に担当する

認知症高齢者に関する相談窓口

(1)認知症疾患医療センター

認知症についての専門医療相談のほか、鑑別診断、かかりつけ医との

連携、医療福祉サービスなどの情報提供を行っています。

平成21年より「認知症連携担当者」が配置される

認知症強化型地域包括支援センターとより密接に

情報交換や連携が進められています。

2)精神保健福祉センター

こころの病・健康についての不安や悩み、医療機関の

情報提供などについて電話相談を行っています。

(3)保健所・保険センター

都道府県の保健所で、認知症に関する相談を行っています。

また、精神科医による相談(予約制)を行っている自治体もあります。

市(区)町村の保険センターなどでも、認知症に関する相談を行っています。

(4)地域包括支援センター

平成18年より、全国の市(区)町村に地域包括支援センターが設置されました。

高齢者の総合相談支援業務や権利擁護業務を担っている機関で

介護の相談や社会資源の情報提供、介護予防ケアマネジメントを行います。

地域のかかりつけ医や認知症疾患医療センターとの

連携も積極的に進められている。

(5)公益財団法人認知症の人と家族の会

認知症の人と家族を支え、認知症ケアの質を向上する

目的で設置された団体です。

全国に支部があり、認知症に関する相談や交流会、研修や

調査活動など様々な事業を展開しています。

●行政機関として

①介護保険課・高齢者福祉課

市(区)町村の介護保険課・高齢者福祉課は

地域住民に関わる多くの福祉サービスや福祉措置を行う、住民に

最も近い行政機関といえます。

窓口相談にも対応しており、必要な情報提供や

利用手続きを行います。

認知症高齢者や家族を支援するサービスも行っています。

その他の機関

社会福祉協議会

各都道府県、市(区)町村ごとに設置されており、地域福祉の中枢を

担う機関です。身近な小地域でのネットワークづくりに取り組んでおり

地域での見守りや集いなどの活動を推進しています。

また、ボランティアの育成や紹介なども行っています。

消費者生活センター

認知症高齢者は悪質な訪問販売の被害に遭う危険性が高いのですが

実際の対処法が分からず、被害を拡大している場合が多くあります。

このようなときには、各地域に設置されている消費者生活センターに相談して

業者への対応方法や契約解除(クーリングオフ)手続きなどの

情報を提供してもらいましょう。

       「日本医療企画」テキストより

老年期の精神障害 (3)

(5)クロイツフェルト・ヤコブ病

感染疾患には、クロイツフェルト・ヤコブ病があります。

人にも感染し、認知症と神経症状が進行して、死に至ります。

現在のところ治療法はありません。

クロイツフェルト・ヤコブ病は牛海綿状脳症といって

牛の脳の中に空洞ができ、スポンジ(海綿)状になる病気です。

一般的には狂牛病(BSE)と言われ

羊のスクレイピー、鹿の慢性消耗病(CWD)、そして

人間のクロイツフェルト・ヤコブ病があります。

原因としては、ウイルスなどの核酸を有した病原体による病気ではなく

プリオンと呼ばれるタンパク質のみで構成された物質が

原因だとする見解が主流で

健康体の牛などの体には、正常プリオン蛋白が発現していますが

BSEの原因となります。

この、プリオンは、正常プリオン蛋白とは立体構造が

異なる異常プリオン蛋白から構成されているものです。

(6)コルサコフ症候群

コルサコフ症候群は、1887年ロシアの精神科医セルゲイ・コルサコフに

ちなみ命名されました。脳の機能障害によって

発生する健忘症状です。

後に、ビタミンB1の欠乏によって起こることが分かったため

ビタミンB1の欠乏によって起こるウェルニッケ・コルサコフ症候群

としてまとめられる場合もあります。

コルサコフ症候群は、視床背内側核または、両側乳頭体の障害で

記銘力の極端な低下を主とした独特の精神状態がみられるものです。

アルコール依存症や頭部外傷、ヘルペス脳炎の後遺症で見られる

特殊な記憶障害の型の一つですが、老年期認知症でもみられます。

コルサコフ症候群の特徴として、ホルモン中枢の視床下部や

記憶に関係する海馬に変化があるときに起こることが知られており

記銘力の低下(2~3分前に話したことを忘れる)

見当識障害(自己の状況の認識ができない)

健忘(ある期間の記憶が抜け落ちる)

作話症(記銘力の低下を補おうとして生じる)

手足のしびれ、起立性のめまい、不安定で協調性のない歩き方

発病以前のことまで忘れる逆行健忘(古い記憶は保持される)、記憶喪失

などがあります。予後不良で再発し、治療困難です。

(7)ビンスワンガー型脳血管性認知症

ビンスワンガー型脳血管性認知症は、脳動脈硬化症による

精神症状がみられるものです。

ビンスワンガー型の特徴は、大脳の白質の広範な脱髄を示し

漏電するため、神経の伝達ができない状態になります。

その結果、記銘力障害、意欲の低下、自発性欠如、幻覚や妄想を伴う

うつ状態、小刻み歩行、激しい興奮などの行動異常を

示すことになります。

さらに、精神的に不活発になることもあります。

これらは、脳血管性認知症の一型で

高血圧と動脈硬化と背景とする進行性の認知症です。

神経症状は、片麻痺、仮性球麻痺、尿失禁などがみられます。

病理学では、大脳白質の広範な変性、多発ラクナがみられます。

治療は、脳血管性認知症と同じです。

(9)若年認知症

若年認知症は、18歳以上、65歳未満で発症する認知症の総称です。

若年期は18~39歳、初老期は40~64歳です。

そもそも、アルツハイマー病の約3%が遺伝性とされ

遺伝子に異変があるため病気を発症します。

遺伝子に異常をもっている多くが、若年性アルツハイマー病で

若年型は50歳くらいで症状が出ます。

さらに、6対4の割合で男性に多いとされていますが

理由は不明です。

そして、老年性より若年性の進行が非常に速いという現状があります。

若年性アルツハイマー病の原因の一つとされているのは

遺伝です。

これは、早期発見、早期治療が大切ということになります。

            日本医療企画より

老年期の精神障害 2

(3)前頭側頭型認知症(ピック病

ピック病は、同じ行動を繰り返すのが特徴です。

原因は不明ですが、大脳委縮性疾患で

40~50代の若年認知症です。

ピック病はその後の研究で、病理学的な特徴から

様々なタイプがあることかが明らかになり

前頭葉や、側頭葉の前方の脳の萎縮が見られるという特徴で分類された

「前頭側頭型認知症」に含まれるようになりました。

前頭側頭型認知症は、意欲低下があり、うつ病と間違われやすいのですが

悩みや不安がないことが異なります。

また、乱暴・盗み・万引き(軽犯罪を犯す)などの

性格の偏りと、行動異常(同じ行為を決まった時間に決まった場所で繰り返す

同じ物ばかり食べたがる)などが特徴です。

早期には、記銘などの記憶障害や見当識障害は少ないことも特徴です。

しかし、創造力思考・連想能力の障害、物事の判断、

洞察の障害などがみられます。

次第に、人格変化と言語機能障害が顕著となり

認知症が進行し、言動両面の自発性減退により寝たきりとなります。

意欲が低下するために、うつ病と間違われやすいのですが

悩みや不安は、ピック病には現れないことに違いがあります。

前頭側頭型認知症の行動特性として、初老期の発病、

前・側頭葉の両側性委縮、人格の変化と

情動の変化を主症状とします。

ゴミなど、不潔の中でも平気でいる、派手になってやたらと買い物をする

など、常識からは外れるような性格・行動のパターンがみられる。

躁鬱病とにた行動がみられる場合もある。

初期のころは記憶力は保たれ、見当識障害は少ない。

その場とは関係ないフレーズがいつもくりかえし出てくる

滞続言語がある、同じ行動を繰り返すのが特徴です。

初期には、記憶障害よりも言動の異常がみられ

発語困難や、失語がみられることなどが行動特性です。

(4)レビー小体型認知症

レビー小体とは、元々は運動障害を主な病状とするパーキンソン病の

脳の中の中脳にたまった異常な構造物を指す言葉です。

レビー小体型認知症の脳は、認知機能を司る大脳皮質にも

広くみられることから命名されたもので

アルツハイマー型認知症についで多い病気です。

レビー小体型認知症は、幻視や幻覚が早期からみられ

パーキンソン病に似た症状で無動、固縮、姿勢保持障害、

歩行障害、自律神経障害もみられる。

この幻視とは、実際には存在していないものが

生々しく見え、例えば、壁に虫が這っている、布団が人の姿に見える

といった錯覚の症状もしばしば見られます。

他にも、進行性・動揺性の認知機能障害、一日のなかでも

変動性ある認知機能障害です。

男性に多い(女性の2倍)ことも特徴で

大脳皮質から脳幹に多くのレビー小体が出現します。

認知症を主症状とし、頭頂葉・側頭葉の血流低下と

後頭葉の血流低下がみられるものの、本態は不明です

また、シヌクレイン(遺伝子の4番染色体上にある)や

家族性パーキンソン病で異常が発見されることもあります。

視覚的に物事を捉えることが難しくなり、

アルツハイマー型認知症と違い

図形描写が早期に障害されることが多いことも特徴です。

他には、気分や態度の変動が大きく

一見まったく穏やかな状態から、無気力状態、興奮、錯乱といった

症状を1日のなかでもくりかえしたり、

日中に惰眠をむさぼったりすることもあります。

      「日本医療企画」テキストより

老年期の精神障害 (1)

老年期の精神障害には、器質性精神障害と機能性精神障害があり、

器質性精神障害

アルツハイマー型認知症、前頭側ぴっく頭型認知症(ピック病)

発性神経変性疾患(皮質性)

脳血管性認知症(多発脳梗塞性認知症、ビンスワンガー病)

パーキンソン病(戦振麻痺)

ハンチントン舞踏病などがあります。

機能性精神障害には、アルコール依存症や躁病やうつ病などがあります。

(1)脳血管性認知症

脳血管性認知症は、脳卒中や脳梗塞、高血圧など脳の血管の障害が

原因で脳の一部に酸素や栄養が届がず、二次的に神経細胞が

障害されておこる認知症です。

主な症状は、記憶障害、認知障害、失禁、問題解決脳力の低下

注意力・意欲の低下、適応力障害、感情失禁などがみられます。

損害を受けてない部位は正常なため

「まだら認知症」とも呼ばれます。

脳血管性認知症の行動特性として、高血圧や脳梗塞などの

動脈硬化性疾患の既往歴、

仮性球麻痺による構語障害や嚥下障害、片麻痺

初期からみられる尿失禁、くすみ足や小刻み歩行などの歩行障害

深部腱反射亢進や病的反射などがあります。

脳梗塞と薬物に関しては、風邪や頭痛に使われる

アスピリンという薬を毎日少量ずつ飲むと

血栓ができにくくなることがあります。

しかし、心房細動のある人で、1度でも脳梗塞発作を

起こしたことがある人、あるいは、心臓が弱っている人

高血圧、糖尿病、喫煙などがある人では、アスピリンでは

十分に血栓を予防できないともいわれています。

              

(2)アルツハイマー型認知症

脳の細胞が変性(性状、性質が変わること)したり

消失した結果、脳全般の細胞が委縮していって

認知症の症状が現れます。

老化が進み、神経細胞の働きが弱くなると

ホモシステイン酸が細胞内に有害物質を蓄積させ

別の原因物質と組み合わされることで

細胞死することがわかってきました。

若い世代では、ホモシステイン酸があっても

有害物質が蓄積されないので神経細胞死までは起きないのです。

喪失体験やPTSD(心的外傷後ストレス障害)などの

強いストレスがアルツハイマー病の危険因子とされており

ホモシステイン酸は、そのようなストレスが持続的に続いた際に

増えるとされています。

アルツハイマー型認知症の初期症状として

アミロイド(異常タンパク質)が脳に沈着し

前頭葉などが委縮することで記憶障害などが始まります。

経過は進行性で平均8~12年の経過で寝たきりとなり

根本的な治療法は今のところ存在しないのが現状です。

アルツハイマー病の原因としては

遺伝子異常、染色体異常(家族性アルツハイマー病・常染色体優性遺伝)

外傷、加齢、性格(融通の利かない真面目な人、消極的な人)

環境(閉鎖的環境)

その他(アルミニウム・女性・ダウン症の家族歴)など

さまざまです。

アルツハイマー病の進行を遅らせる対症療法薬として

ドネペジルなど4種類ありますが、根本治療薬ではありません。

「日本医療企画」より

脳障害としての認知症

「日本医療企画」参照

2013年 平成25年12月時点で65歳以上の人口に占める割合は25.2%

75歳以上の人口比率は12.3%(総務省統計局)

これが、2025年にはそれぞれ30.3%と18.1%になると推測されています。

さらに、推計では、2050年には2.5人に1人が65歳以上の高齢社会になるとの試算もあります。

そもそも症状の名前が「認知症」であり

認知症という病気があるわけではありません。

認知症の原因となっている病気には、アルツハイマーなどさまざまです。

一般に認知症の鑑別診断には、PET,MRI,脳血流シンチグラフィーなどが用いられ

病気によって対処法もさまざまです。

認知症とは、進行性の記憶障害をきたす疾患の総称であり

知能障害があり、脳器質性要因があること、そして意識障害がないことです。

具体的には

見当識障害(時間や季節、あるいは方向感覚がなく自分がいる場所も分からないなど)

動作(食事、脱着、排泄、洗体などの行為)に関する

失認や執行という症状が出てくることで、ただ単に物忘れしやすくなるというのではなく

物忘れがひどく、相手が誰なのか確認できなくなって、社会生活を送ることが困難になり

介護の手を必要とする状態を指します。

人は、単なる物忘れを生理的老化ともいいますが

これには、20年前からすでに脳の中に染み(老人斑)が固まり始めることが

影響しているといわれています。

抗体薬を使ってその染みを消そうとしても、症状が出てからでは遅いとされています。

症状が出る前の早期に正確な診断をつけて、抗体薬などで発症を防ごうという考え方を

「先制医療」といって、最近の医療領域で取り入れられている。

人は、他者や何かの出来事に対して「怒る」ことで、脳内のアドレナリンが多く

分泌され、その結果、脳が疲労します。こうした状態が

長年続いていくことで脳の老化が促進され、認知症発症の過程へと続くこともあるとされています。

日常生活の中で、ほめたり、叱ったりする場面があると思いますが

褒めるとどうなるでしょうか。

人から褒められることで、脳の中から神経伝達物質がでます。

ドーパミン(快感)やエンドルフィンが脳の神経細胞を増やします。

新しい神経細胞が分裂し、アルツハイマー病は神経細胞の数が減ることで

記憶を保持できなくなるので、神経細胞が増えれば

認知機能の低下を抑えることにつながるのです。

そして、物忘れが進むなかで、その進行をゆっくりにすることができるわけです。

逆に、怒ったり叱ったりすると、ストレス物質(コルチゾール)が出ることで、

脳の神経細胞を殺してしまい、症状が加速するのです。

また、「ときめき」をもつことも大切で、脳はよく活性化し

よい物質がたくさん出ることになり、神経細胞を増やしていくからです。

例えば、「好きな人がいる」や、「花を愛する」など

さらに、指を使うこと、噛むこと、話すこと、歩くことなどが加われば

脳の前側部分を総合的に使って活性化することができるので

より効果的といえるのです。

    「日本医療企画」テキストより